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『徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑』鑑賞
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     ラピュタ阿佐ヶ谷の「牧口雄二の世界」が後半戦に突入しましたので、行って参りました。
    何度も繰り返しますが、代表作・傑作が国内でソフト化されないというのは牧口監督の不幸ですな(昨年漸く『玉割り人ゆき』シリーズがソフト化された)。
    で、本日の『徳川女刑罰絵巻・牛裂きの刑』は、欧州で『SHOGUN'S SADISM』としてソフト化されている映画ですな。日本で『西太后』が中国の残酷処刑ショー映画として楽しまれているような感じか。

    とりあえずオープニングで戦争や原爆の写真をバックに、渡辺岳男の音楽が流れる。何かもうユーモラスというか間抜けな音楽で、違和感がもの凄い。そして「弱肉強食は人間の本性である」と本作のテーマが字幕で説明され、釜ゆでや八百屋お七の火あぶり等が描かれた後、寛永五(1628)年の江戸時代、長崎に話は移る。
    長崎奉行の高坂主膳(汐路章)は苛烈な切支丹弾圧……というより、残酷な娯楽としての切支丹の処刑・拷問を楽しんでいた。そして隠れ切支丹の登世(内村レナ)一家が目明かしの弥吉(長島隆一)の手によって捕縛され、彼女が部下の佐々木(風戸祐介)の恋人である事を知ると、佐々木を側に置いてその眼前で登世を陵辱し、妾にする。さらに登世の妹みつ(増田美紀)を彼女の前で拷問にかけて両眼を潰す。妹の命乞いをした登世は仲間の隠れ切支丹を密告させられ、彼女の眼前で切支丹達は火あぶりにされる。そしてついに登世の両親が磔にされ、彼女の嘆願空しく高坂は時間をかけて両親を殺害。キリスト教の教えに背いて自害しようとする彼女は、「みつを頼む」という遺言の為に死ねない。そして登世は佐々木の眼前で、高坂の愛撫に歓びを感じるようになる。佐々木は高坂の命令を拒んだ件で髷を切られて追放される。一年後、両親の墓参に出向いた登世を佐々木が奪回する。二人は結ばれるが、すぐに追っ手がかかり、高坂により佐々木は刺殺され、彼の死骸を前に登世もまた牛裂きの刑に処される。そして高坂は邪宗徒取締の功績で1万石の大名・寺社奉行まで出世したとナレーションが入り、光きらめく川で戯れる佐々木と登世の映像が入り、第一部・終了。
    続いて大坂の豪商の息子と騙って一晩で十四両もの豪遊をした捨蔵(川谷拓三)が、女郎屋で一年のただ働きをさせられる。そこで妊娠した女郎が無理矢理赤子を摘出され、病癒えぬまま働かされて労咳で血を吐き、さらにそれを連れ出そうとした卯之助(野口貴史)の陰茎を刃を潰した剃刀で切断させられ、溜まらず同郷の女郎おさと(橘麻紀)を連れて逃亡。おさとをおぼこだと言って別の女郎屋に十五両で売ろうとして(十両にまけさせられる)失敗、オワイ屋の振りをしてくみ取り便所から彼女を脱走させるがその時にもたついて金を便所の肥の中に落としてしまう。しかし喧嘩別れしたおさとが夜鷹の縄張りを荒らしたと勘違いされて彼女を輪姦する三人の河原乞食を殺害したのを皮切りに、二人は犯罪の逃避行を始めるが、美人局を仕掛けた相手が岡っ引きで捕縛。水車の拷問等を白を切って耐える捨蔵だったが、乳首をねじ切られ白状しようとするおさとをかばって自白。二人は鋸引きの刑となるが、おさとは役人に賄賂を効かせた元の女郎屋に引き取られ、一人残っていた所に通りかかった卯之助に首を挽かれて殺害される。女郎として明るく復活したおさとに、捨蔵は「利用されるんやない、強く生きるんや」と語りかける。

    こんな感じの二部構成オムニバスだが、とにかく売りの第一部が拷問とセックスの連発で、清々しい程の見世物映画になっている。とはいえ同様の石井輝男作品が吉田輝男に「何故人間はこんな残酷なことを出来るのだ」と言わせるとかとにかく残酷シーンを表層的とはいえ物語性を付加する事によって作品として昇華させていたのに対し、第一部は牧口雄二らしいソフトフォーカスを効かせた映像美を垣間見せるものの、『ギニーピッグ2血肉の華』並みの残酷シーンの連発で、そういった感動はゼロ。同月に公開されたパゾリーニの『ソドムの市』の向こうを張ったかのように、エログロシーンのみをつなぎ合わせた作品となっている。確かに『浪人街』で未然に防がれた牛裂きの刑を映像化したという点では貴重な作品ではあるが、汐路が「こうやるんだ」と見本を見せる磔の罪人を前から胸を刺すシーンは、どう見ても間違いである(実際は骨に当たらないよう、脇の下から反対側の肩に向けて貫通させる)。他にも巨大な狸の置物の中に切支丹を閉じ込めて焼き殺したり、蛇の群れを放り込んだりと、実にバラエティに富んでいるが、前置きのない官能小説同様、ドラマ部分をないがしろにして制作された映画には全く面白味が無い。
    そしてみつは盲目の巡礼となって目隠しされて引き回される登世の横で転び消え、佐々木と登世が惨死して高坂が出世して終わりでは、何故こういう結末にしたかという興味深さはあるものの、石井輝男でさえ勧善懲悪の路線は守っており、どうにも不快な気分だけが残ってしまう。これがアンハッピーエンドながら、不思議な余韻を残す作品になった『ソドムの市』、あるいは遠藤周作の『沈黙』を意識したものならば、あまりにも拙劣としか言いようがない。
    翻って第二部は川谷拓三の演技もあり、意外と楽しめる作品にまとまっているが、こちらは尺数が短く急ぎ足の結果に終わっている。
    トータルするとあまりにもバランスが悪く作品としての体を成しておらず、それが会社の要求か監督の意向かは不明だが、正直牧口ファンを自認する自分でも失敗作としか言えない代物になってしまっている。むしろ第二部を展開させ、犯罪者カップルの逃避行というドラマである次々作『毒婦お伝と首切り浅』という佳作に昇華したと思えば、その習作としての役目を果たした作品と位置付けられ、多少の溜飲は下がるのだが。
    非常に胸糞の悪い作品であり他人には絶対に勧めはしないが、その展開される残酷ショーに心惹かれる人ならば、一度は観て置いても損は無いかもしれない。断言できるのは、生きたイモリを喰い千切り、残酷な拷問に「ザッツ・パーフェクト」と喜ぶ汐路章の怪演は見物である事である。
    | 映画・TV | 23:25 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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