2007.09.29 Saturday
『俺の血は他人の血』+1鑑賞
筒井康隆の初期長編の映画化。一応特撮ものながらなかなか観る機会が無かったので、とりあえず。要は生まれたての頃にギャングの輸血を大量に受けてしまった為に、キレると別人格となって大暴れする青年のお話。……いや、これはひどいわ。主演の火野正平はなかなかいい(ジキルハイドなメイクは今一つ)。ただ、ヒロインが奈美悦子というのが弱い。特に原作の町中が抗争状態になった話に比べると、お話がこじんまりとしていて、特にクライマックスが対立勢力が一会議室に集められての殺し合い、しかも主人公は見ているだけという展開には唖然。ここはヤクザ映画らしく、ヒロインを殺された主人公が新吾捕物帳みたいに全員嬲り殺しにせんとあかんやろ。特撮も、パンチ一発でワイヤーに吊られた悪役が吹っ飛ぶというパターンの繰り返しで、何とも間抜け。相棒役にフランキー堺を配したように、どうもコメディ路線を狙っていたらしく、ラストは「俺と組もうぜー」と火野を追いかけるフランキーで終わりと、凸凹コンビで続編を作りたがっていた感じが大。
監督は舛田利雄。『二百三高地』『大日本帝国』などで組んだ故笠原和夫氏が「彼はリアリズムを分かっていないし、そういう映像を撮れない」云々とボヤいていたが、まさにそんな感じか。全体的に日活アクション系を劣化させたような作風で、出来の悪いアクションシーンと合わせて、寒い出来。これ、もう一度真剣に映画化したらいいと思うのだけれど。
併映は『二匹の牝犬』。ドリフ映画でお馴染みの渡辺祐介監督作品。田舎(千葉)から家出した娘・小川真由美がトルコ嬢で稼いだ金を証券マン・杉浦直樹に運用させながら、その金で堅気の店を開いて彼との結婚を夢見ていたら、株暴落でお釈迦になった挙句、上京して来た妹の緑魔子に杉浦を寝取られて大爆発。それでも妹を送り返して同じ貧乏な境遇にあったという告白を聞いて許した杉浦と結婚してトルコを辞めたら……杉浦は妹を囲っていたという事を知り、妹の部屋に殴り込んで杉浦と共倒れ。妹はそんな二人を鼻で笑いながらトルコに勤め出してのしあがってやるといきまくところで終わり。大映の渥美マリ路線といおうか、何ともやりきれない作品というか、そういう結末しか待っていないことが明白なので、観ていて胃が痛かったですよ。『天使の欲望』みたいに結城しのぶと有明祥子が血まみれで殺し合うのとどちらが良いかと聞かれると、迷ってしまうが。まあ、二枚目で誠実そうな言動に徹する人間の屑・杉浦や、小川の鬼気迫る演技が巧く、実に安心して観ていられるのは確かだが。按摩役で潮健治氏が出てくるのもおいしいが、緑の隣人役で出てきた岸田森がゴーゴーダンスを踊るシーンがとてつもなく貴重な気がする作品である。
監督は舛田利雄。『二百三高地』『大日本帝国』などで組んだ故笠原和夫氏が「彼はリアリズムを分かっていないし、そういう映像を撮れない」云々とボヤいていたが、まさにそんな感じか。全体的に日活アクション系を劣化させたような作風で、出来の悪いアクションシーンと合わせて、寒い出来。これ、もう一度真剣に映画化したらいいと思うのだけれど。
併映は『二匹の牝犬』。ドリフ映画でお馴染みの渡辺祐介監督作品。田舎(千葉)から家出した娘・小川真由美がトルコ嬢で稼いだ金を証券マン・杉浦直樹に運用させながら、その金で堅気の店を開いて彼との結婚を夢見ていたら、株暴落でお釈迦になった挙句、上京して来た妹の緑魔子に杉浦を寝取られて大爆発。それでも妹を送り返して同じ貧乏な境遇にあったという告白を聞いて許した杉浦と結婚してトルコを辞めたら……杉浦は妹を囲っていたという事を知り、妹の部屋に殴り込んで杉浦と共倒れ。妹はそんな二人を鼻で笑いながらトルコに勤め出してのしあがってやるといきまくところで終わり。大映の渥美マリ路線といおうか、何ともやりきれない作品というか、そういう結末しか待っていないことが明白なので、観ていて胃が痛かったですよ。『天使の欲望』みたいに結城しのぶと有明祥子が血まみれで殺し合うのとどちらが良いかと聞かれると、迷ってしまうが。まあ、二枚目で誠実そうな言動に徹する人間の屑・杉浦や、小川の鬼気迫る演技が巧く、実に安心して観ていられるのは確かだが。按摩役で潮健治氏が出てくるのもおいしいが、緑の隣人役で出てきた岸田森がゴーゴーダンスを踊るシーンがとてつもなく貴重な気がする作品である。