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『マッドマックス 怒りのデス・ロード』鑑賞
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    以下、ネタバレしまくりです。
    殺された妻子の記憶に苛まされながら荒野をさまようマックスは、イモータン・ジョーの手下に襲撃され、砦に連行される。ジョーは水を独占し、神話で部下をマインドコントロールし、強力な階層社会を築いていた。放射能によって汚染された世界では奇形児が大量に生まれ、マックスは「輸血袋」として使い捨てられることになった。そんな中、フュリオサ大隊長率いる部隊が近隣の自治体に向かうと見せかけて、ジョーの五人の妻達を連れ出し、「緑の地」へと逃亡する。妻達の孕んだ子供達を取り返す為に、ジョーは全軍団を率いて出撃、マックスは武装集団の一人で汚染され余命の少ないニュークスに「輸血袋」として連れ出される。闘争を経て、五人妻の一人を失いながら、マックス、そしてニュークスはフュリオサ達と合流して、彼女の故郷・緑の地へと辿り着く。しかしそこも放射能汚染によって、老婆達が残るだけの不毛の地となっていた。なおもその先、塩の海の先を目指そうとするフュリオサ達を説得し、マックスは岩の谷を塞いでジョー達を遮断し、ジョーの砦に戻りそこを奪って暮らす事を提案する。闘争でニュークス達仲間を失いつつもジョー親子と幹部達を倒し、マックス達は砦に帰還する。ジョーの死体を見て圧政から解放される砦。そして新たなリーダーとして歓呼を浴びるフュリオサに、マックスは背を向けて去って行くのだった。

    今回のポイントは、争奪戦の対象が石油や水でなく、人になった点ですな。という訳で、観ていると、水の争奪戦となった『マッドライダー』、子供を産める健康な女性の争奪戦となった『ニューヨーク2019年』といったマッドマックス・エピゴーネンの影が本家シリーズに戻って来るという展開に、二番煎じマカロニSF好きの俺は大喜び。フュリオサの片腕がサイボーグ義手なんて『マッドライダー』の子役にあった設定だし、バイクがタンクローリーの上を飛ぶシーンとかまんま『バトルトラック』だし、ジョーが着込むアクリルの透明プロテクターなんて『カー・バイオレンス』の主人公だし、マックスが逃げようと鎖でつながれたニュークスの腕を切ろうとしするシーンは『1』、ラストにフュリオサが片目をつぶったまま立ち尽くすシーンは『2』のラストまんまだし、インターセプターは『2』よりもひどい扱いだし、俺的にベスト改造カーである人質を前面に吊った車をフィーチャーした車にマックスが吊られているとか、色々と心憎いフィーチャーが満載である(作り手がどこまで意識しているかは知らないが)。特に冒頭のジョーの砦内、物品として扱われる人体と機械の一部と化した奴隷、放射能汚染による障害が恒常化してパーツ取りの人体処理場等の描写は、まんま実写版石川賢『神州纐纈城』であり、狂いまくっている。
    とはいえ、ならばそれで面白いかというと、確かに走り続ける演出で飽きは来ないが、俺的には大して面白くなかった。全体的に赤みのかかった色調で統一された美術もさることながら、『1』の転倒した男の後頭部にバイクが突っ込んで来るとか、『2』で車から放り出された暴走族が回転しながら宙を飛んで行くとかの派手な描写に欠け、炎を噴き出すギターとドラムで演奏しているだけの車の描写は堪らんが、音楽が地味というか無いに等しく、血沸き肉躍る活劇というか、娯楽映画としての華に欠けているのである。『2』のクライマックスの発展系を期待していた身としては、何か前置きだけで終わってしまったような印象しか残らなかった。
    正直ジョージ・ミラーも老いたかと思う失望感はあるものの、その分物語の骨子が太くなっていたのは評価できる。物扱いされている女性が(五人妻の存在意義は健康な子供を産める健康な肉体の美しい女性であり、彼女らは貞操帯をはめられて産む機械として密室に監禁されており、奪還に来たジョーは彼女達でなく彼女達の中にいる胎児しか気にしていない)、フュリオサと共に自由の奪還の為に戦うという物語は、芯が通っている。ニヒリズムというかマッドなマックスは、あくまで添え物、手助けをする脇役扱いである。
    しかし一番興味深いのは、ジョーの砦の社会構造ではないか。自身の血筋と子供を残す事が最大の目的となっているトップに、経済的合理性ばかり怒鳴っている男爵、死の商人を兼ねた将軍がヒエラルキーの頂点に立ち、資源と武力で下層民を掌握し、若者には英雄の霊を引き合いに出してマインドコントロールを行って(ヒロポン入り水盃ではないけれど)麻薬を与えて、自らの命を自主的に投げ出す事を讃え推奨しているという、何やらどこかで見たような、これから復活する気満々の自由と民主主義の無い国家の体制を凝縮している。そういう意味では『3』的な感じがしないでもないが、本作は巷間の評価とは正反対に、カーアクションとしては凡作、しかし内包するドラマ的要素は実に現代的で充実した、骨太な作品であった。

    ↓なかなか面白かったジョージ・ミラー監督インタビュー
    http://www.tbsradio.jp/utamaru/2015/06/post_897.html
    | 映画・TV | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
    謎の劇場・テアトル弘前
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      と言いつつ、大した謎ではないのかもしれませんが。
      先年、東日本大震災の被災地である石巻に行った折に、石巻日活パールというポルノ映画館を見つけて、支配人さんの男気に感銘を受けていたのですが、東北にはさらに成人映画館があるという事で、今回弘前に行ったついでにそのテアトル弘前に行ってみる事にしました。
      が。
      ピンク映画館なので映画情報誌はスルー、ピンク映画情報サイトPG-Webにも番組情報は無し、ググってみればハッテン場情報の話ばかりで、上映スケジュールなども一切無し。今までの経験則からして、地方の名画座が生き残る為に、高いフィルム代とデジタル化は無視してピンク映画系に、そして結局「出会いの場」として命脈を保っている、というのはざらにある話で、世界傑作劇場のように真っ暗な休憩室を備えた所は例外としても、後ろの方で売春婦とオッサンがおっ始めたとか、席に着いたら隣にオッサンが座って来たとかは当然のようにある訳です。
      なので、番組表が分からない以上、ゲイ映画劇場になっている可能性も否定できない訳ですが、やはり地方で頑張る名画座なんていつまであるか分からないのだからと、とにかく観に行くことにしました。
      ところが弘前の主目的であるうりぼう見学のバスが朝に一本、夕方に一本という事で、しかも行きと帰りは違うルートを通るので、16時に弘前駅を出発する事になりました。
      ランドマークは、中央弘前駅です。100円バスで中土手町停留所で降り、そこから歩いて数分の中央弘前駅をさらに数分歩いた所に、テアトル弘前の入っている「グランドパレス2号館」ビルがある。

      正面から見ると、何だか分からんぞ。右の看板を見ると、地方の飲み屋街によくある、スナックと居酒屋だらけの雑居ビルである事が分かる。確かにこの周辺、昭和臭が漂うというか、スナックや居酒屋が多い。今日は日曜日なので全店お休みのようで、そのまま中に入り、裏へ抜ける。

      裏通りから見ると、映画館ですねー! 本日かかっていたのは、『人妻娼婦 もっと恥ずかしめて』『三十路妻 濃密な夜のご奉仕』『喪服令嬢 いたぶり淫夢』の3本。タイムテーブルを見ると、10時50分〜23時7分まで、3本セットを4回上映で、その合間に3分ずつ休憩が入るという、まー、ピンク映画館にはよくあるパターンですな。料金は大人1600円、学生1300円。ピンクでこの価格というのは……ゲイ映画館・世界傑作劇場の強気な料金が頭をかすめる。でまあ、少し悩んだものの、とりあえず入らずに後悔するよりはと、意を決して入る事にする。しかし何故映画館に入るのに、ここまで悩まねばならんのだ。
      ……で、いきなり面食らったのは、外から見える窓口では券を売っておらず、中の受付で買えとの貼り紙。

      で、自動ドア……名画座で自動ドアって、珍しくないか?を入ると右に、これまたガラスで仕切られた窓口が。中は見えない。ラブホテルの受付か、ここは。声からすると、中にはおばちゃんがいたようだが。受付の下にはチョコレートや煙草を入れた売店のショーウィンドウ。その反対側に、まっすぐ伸びる廊下を隔てて、客席の扉。そちらに向かって歩くと、左に椅子とコーヒー缶の保温器、右側には受付から男子便所、女子便所、立ち入り禁止の扉。
      客席の扉を開けると遮光の垂れ幕が。そこを抜けると、ああ、意外と広い客席。上映中なので当然中は暗いが、前より6席×4列・8席×5列と並んだ客席には誰も観客がいない。で、当然客席の後ろには、二人ほどの人影が。はい、椅子に座る客よりも後ろに立っている客が多いというのは、ハッテン場のお約束ですね。痴漢が映画館に行かなくなった女性の気持ちがちょっとは理解できる雰囲気。しかし日曜の夕方なのにこの客数は。
      とはいえ気にしてもいられないので、一番後ろの席は厳禁という事で、中ほどの端に座る。……足音がすると、何故か同じ列の反対側に男が座る。見ません。後ろから何か椅子を蹴るような音や、扉を開閉して出入りする音が聞こえるのだが、一切そちらは見ません。よく見ると、客席前方、スクリーンから客席に向けて急なスロープになっているような。
      ちなみにその時上映していた映画は『人妻娼婦 もっと恥ずかしめて』。性欲を持て余している、上流階級というかちょっと資産家の夫人が、夫の友人から聞いた地下の売春クラブ「昼顔」に行き、そこでSM的なセックスにのめり込んでいく……という、池島ゆたか監督作品。演出とかがしっかりしていて、なかなか面白く観られました。
      ただ残念なのは帰りの列車の時刻と、不慣れな土地なので早めに帰路につかねばという理由で、30分も観ないで離席。早々に映画館を立ち去りました。

      で、この建物からすると軽く40、50年は経っていそうな雰囲気の映画館なのだが、弘前に住んでいた某氏の話だと、駅前の日活の映画館は記憶しているものの、この映画館は記憶に無いとの事。建物は古いけれど、映画館設立はそんなに古くない?でもこの種の映画館が新しいとも思えないし。という訳で、後の調査は任せました>某氏ヾ( ´ー`)ノ
       
      | 映画・TV | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
      佐藤允追悼上映会『非情学園ワル 教師狩り』+志垣太郎氏トークショー
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        佐藤允さん追悼上映会 「非情学園ワル 教師狩り」
        久しぶりにグリソムギャング。今回は第二部の志垣太郎氏のトークショーへ。
        『非情学園ワル・教師狩り』。要するに谷隼人の洋二に、PTA会長が呼んだ佐藤允氏扮する柔道の達人教師・島が対決。島は柔道で洋二を叩きのめすが、二度目の対決で敗北する。PTA会長の息子・小野進也は愚連隊を率いて、洋二と同棲していた元女教師・美杉を輪姦。洋二は婚約パーティーを抜け出していたPTA会長の娘で島の婚約者を強姦。そして姉の復讐に来た小野進也達を叩きのめし、重傷を負わせる。退学の決まった洋二に真摯に向き合っていた教師・宇津木は剣道で洋二と対決するが、間違って大怪我を負い、死亡。しかし洋二を庇う宇津木の遺言を島達は捏造、洋二は殺人罪で少年院に送られる。勝ち誇る島達だが、洋二は美杉の協力で脱走、真相を知る教頭を利用して、ブラジルへ旅立つ直前の島の悪行を暴露。学園が騒然とする中、洋二は島と死闘を繰り広げ、遂に島を倒し、そのまま学校へ駆け付けたパトカーへ向かって歩いて行く。
        ワルの洋二の前に、それ以上のワル=島・PTA会長一派という構図は、『愛と誠』というか、スネーク・プリスキンというか。終始無表情の谷隼人は美杉との不器用な愛や宇津木に僅かに見せる真摯さをまぶして観客の感情移入を誘いながら、野性味溢れる佐藤允のガチンコ対決を軸に、小野進也扮するドラ息子らとの抗争等と盛り沢山。正直洋二のキャラクターはイマイチだが、報復と復讐が積み重なって行く構成はなかなか面白かった。

        んで、15時15分スタートの映画終了後、若干遅刻した志垣氏を迎えて、17時15分に全員が紙コップの日本酒とウーロン茶で献杯し、志垣氏の「飲むぜー!」でトークショースタート。思い出話に花が咲き、その後はサイン会の後、懇親会に移り、志垣氏と闘介監督を囲んでのおしゃべり。リクエストに応じて、志垣氏が『ベルサイユのばら』のエンディングのアンドレの独白「オスカル、愛してる」を再現して、大喜び。闘介監督の思い出話と、場を盛り上げる志垣氏のサービス精神と御年61歳と思えぬキラキラと光り輝く瞳には思わず魅せられましたわ。
        あと、グリソムギャングの方が、隅の方にいる女性客向けに志垣氏の席替えをしたり、そういう所で気を遣っているのが感心しましたわ。
        結局22時半ぐらいで会は終了。いやー、楽しかったです。
        | 映画・TV | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
        『ラブド・ワンズ』鑑賞
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          公式サイト

          高校生のブレントは車を運転中、突如道路に出て来た全裸の男を避けようとして立ち木に激突してしまい、同乗していた父を失ってしまう。
          半年後、その事で母親とギクシャクしていたブレントは、恋人のホリーとダンスパーティーに行く約束をする。その為に、誘って来たローラの申し出を断る。
          友人のジェイミーは、保安官の娘のミアを誘う事に成功し、ご機嫌だ。
          しかしブレントは、帰宅後にロッククライミングをした直後に何者かに襲われ、誘拐されてしまう。誘拐したのは、ローラの父親だ。椅子に拘束された状態で目覚めたブレントは、ローラの家の台所の食卓で、パーティードレスで装ったローラ、その父親、そして額に穴の空いた、虚ろな女性――ローラの母親と、チキンとミルクでパーティーを開く事になる。早速ローラと父親はブレントの喉に薬品を射ち、彼がしゃべれないようにする。ローラは母親の口にチキンをねじ込み、ミルクを流し込む。そしてブレントの口にもチキンをねじ込もうとする。拒否する彼はトイレに行きたいと言う。行きたいなら自分の指をしゃぶれと脅した後、ローラはミルクを一気飲みし、ブレントのジッパーを下ろし、空のコップに小便しろと強制。拒否するブレントを嘘つきと断じたローラは、10数える間に放尿しないと、罰として、父親にブレントを椅子に釘で打ち付けさせると宣言し、ブレントは放尿する。
          その後隙を突いてブレントは逃げ出すが、車で追い回され、樹上に追い詰められ、投石されて車の上に落ちて失神。再び椅子に束縛されたブレントは、罰として両足をナイフで床に釘づけされる。そしてローラのアルバムを見せられる。彼女は小さい頃からステキな王子様と思しき男性を監禁しては、胸にハートマークとLSと傷を付け、痛めつけて来たのだ。

          その頃ジェイミーとミアはパーティ会場に行くが、ミアはドラッグをキメて、ダンスをしながらジェイミーの股間をまさぐり、会場を追い出されてしまう。彼女は兄が失踪してから精神が不安定になっていた。そしてその兄は、ローラ達から逃げ出したところをブレントが事故を起こす原因になっていた。
          一方失踪したブレントを案じて、彼の母親とホリーは悲しみに打ちひしがれていた。

          そしてローラにフォークで胸に傷を付けられたブレントは、カエル呼ばわりされ、ローラは「やはりパパが一番」と父親と熱烈なキスをする。そしてブレントはドリルで額に穴を空けられ、中に熱湯を注ぎ込まれて廃人にされる処理を受けようとしていた。ペンダントで縄を切ったブレントは、ドリルでローラの父を倒し、脚のナイフで刺殺する。しかし彼を地下室に突き落とした直後、ブレントもローラによって突き落とされる。地下室には、ローラ達によって脳をやられ、獣となった青年達がいた。ローラの父を食い殺した彼らをブレントは倒す。

          その頃、別れ際に「ローラの誘いを断った」というブレントの言葉を思い出したホリーは、保安官にそれを知らせ、保安官はローラの家を訪れる。保安官は血まみれの室内を見て異変に気づき、家の中に入り込み、助けを求めるブレントに気付くが、彼もまた背後からローラに殺害され、地下室に突き落とされる。
          「あんたはパパを殺した。お前の家に行って母親を殺し、その後ホリーも殺してやる!」
          夜明け。ローラがナイフを持って道路を歩いていると、ホリーが車で駆けつけようとしていた。彼女の車にアルバムを叩きつけ、止まった隙に助手席からホリーにナイフを突き立てようとするローラ。そして逃げるホリー。
          ブレントは地下室に死体を積み重ねて足場にし、ようやく地下室から脱出し、保安官のパトカーを走らせる。突然目の前に出現したホリーを避けたブレントは、彼女を追いかけてきていたローラを跳ね飛ばす。そして抱き合う、ブレントとローラ。そしてなおも這いずり、迫り来るローラに気付いたブレントは、パトカーをバックさせて、彼女にとどめを刺す。そして二人は自宅に戻ると、ブレントを心配していた母親と三人で抱き合い、再会を喜ぶのだった。


          とりあえずこの手の映画はアンハッピーエンドが多いのだが、本作は珍しくハッピーエンド。……はいいのだが、正直それにつなげるためか、本来なら逃げようもないブレントが二度も拘束から脱出し、あまつさえ蓋が開いたままの地下室から逃げ出すという展開に、ご都合主義感は禁じ得ず。また、ローラ親子とブレント、ブレントの母とホリー、保安官親娘とジェイミー、の三つのドラマが展開するのだが、別にそこまでする必要があったのか? ジェイミーとミアの話はいらないのでは?と、水増し感を感じてしまう。所々ユーモラスな演出が入り、ローラを跳ねてブレント達がいちゃつくパトカーを画面左に、反対の画面端からローラが這いずってくる長回しはなかなかの名シーンではあるが。ゴア描写を長くすると『ホステル』みたいなキッツい話になるなあという感じはするのだが、綺麗ながら程良くダサさを醸し出したローラ役のロビン・マクレヴィーの熱演でこのパートはなかなか胃が痛くなるような焦燥感と狂気があり、中途半端な感じで終わってしまったのが残念。後、ホリーとミアが揃って顔にホクロやらイボやらがあるのは、何か狙ったのかしらん。全体的に散漫とまでは言わなくても、薄味です。
          | 映画・TV | 23:59 | comments(0) | trackbacks(1) | - | - |
          『小林多喜二』『戦争と青春』『バトルシップ』『ジョン・カーター』鑑賞
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            銀座シネパトスで今井正特集。
            『小林多喜二』。
            山本圭扮する小林多喜二と今村恒夫が食堂を覗くと、特高警察が張っていた。逃げる二人を、特高が追う。マントを脱いで走る多喜二だが、下駄ですっ転んで特高にさんざん打ちのめされ、今村が救出に戻り逃げ出すが、特高の機転の「泥棒だ」という声で通行人の協力によって取り押さえられる。本名を隠し白を切る多喜二だがすぐに正体は割れ、取調室でステッキで叩きのめされ、吊り上げられて竹刀で叩かれ、錐で腿を抉られ、下半身を踏みつけられるといった拷問により、絶命する。
            取調室に放置された多喜二の死体の横に、ギターを持った横内正が登場する。「♪屍を〜積み重ねなば〜バリケード〜やがて〜輝く〜旗を信じて〜〜1933年2月10日! 小林多喜二は〜東京築地警察署で〜その生涯を閉じた〜」。1970年代の映画だね〜。ATGじゃないけれど。というわけで、その後は横内正を狂言回しにして、当時残っていた石碑や大学の建物や、多喜二の小説を基にした再現ドラマなどを紹介しながら、多喜二の生涯を負う。家が貧乏ながら頭が良かったので働きながら進学し、高校で絵画を始めるが伯父の注意で断念し文学に傾倒、銀行に就職し向かいの席の女性の協力を仰ぎながら小説を書き続け(辞める時に反物を贈っている)、志賀直哉に傾倒し、講演に来た芥川龍之介達の宴席に顔を出し、次第に労働者運動に目覚めて行き、そちらに深く関わって行く。知り合った女給(中野良子)に友人からの借金と賞与で借金500円を返済し家族とし、しかし彼女が断りきれずにまた春をひさぐ事に涙する。宮本顕治らと交流しつつ、何度も逮捕され、講演会では話そうとした瞬間に舞台上手に陣取る警察に中止を要求され、読もうとしていた新聞を見せてからかう。そんな中地下生活を続けるうちに泊めてもらった銀行の女と結婚するが、留守中に彼女の家がガサ入れされ、逃亡。流浪の旅を続けるが逮捕され、死体となって戻って来る。死体は下半身と腹が内出血で変色して膨れ上がっていたが、解剖を依頼した病院の医師は「風邪だと聞いたが心臓麻痺じゃないか」とにこやかに断る。そして重犯罪者扱いの多喜二の葬式は警察の監視によって近親者以外の参列者は全員検束される(花束だけは届けてくれるのが、妙に親切)。そして面会を通して、獄中の共産党の同志には多喜二殺害の情報と赤い花が届けられる。監獄の窓にはその赤い花が並び、多喜二の死を悼んでいた。
            左翼映画といえばこの人、山本圭! 浜辺で中野良子と砂浜に大仏の顔を描いていちゃつく様もこっばずかしい、ある意味正統なセミドキュメンタリー伝記映画である。とはいえ、最大の見せ場である多喜二の虐殺シーンをオープニングで終わるツカミに持って来た為、何やら『やくざ刑罰史・私刑』のように、本編が刺身のツマのようになってしまっている。時系列が前後している点も含めて、構成にやや難ありといったところか。宮本顕治、芥川龍之介、原泉(子)等、いろいろな意味でオールスター(もちろん演じるのは役者)なのはなかなか面白かったが。多喜二の教科書的映画だが、前半部分は端折って、逮捕後から死後の話までドキュメンタリー・タッチでまとめた方が引き締まった作品になったのではないか。

            『戦争と青春』。
            女子高生の工藤夕貴が夏の宿題に樹木希林から戦争体験の作文十枚以上を課せられ、ドヒャーとなりながら、伯母・奈良岡朋子に話を聞こうとする。伯母は近所の焼け残った電柱を日がな眺めている、ボケ老人だった。父親の井川比佐志にそれを聞こうとしても、怒って取り付く島がない。古書店経営者の伯父から紹介された、東京大空襲の記録を残そうとする作家の早瀬に話を聞いたりしているうちに、概要が浮かんでくる。戦時中、相撲で負け続けた井川は軍国教師に痛罵され、教師の風見に励まされる。そして女子高生だった伯母は風見と親しくなっていくが、風見は召集令状が来たのを機に、徴兵忌避を決意。鉱山労働者に潜り込むが、「お前たちの替えはいるんだ」と手ひどく痛めつけられる朝鮮人労働者をかばった事から、射殺される。残された伯母は非国民の罵倒に耐えながら風見の遺児・蛍子を育てるが、東京大空襲の折、父にはぐれ、火に巻かれて電柱を伝って逃げようとした際、先に登った井川に蛍子を渡そうとした時に焼夷弾の爆風に襲われ、蛍子が行方不明になってしまう。そこまで分かった後、伯母は急死してしまう。その後、早瀬から連絡があり、蛍子らしい、朝鮮人に拾われた赤ん坊の話を聞かされる。来日した盲目の韓国人・奈良岡と蛍子を結ぶ手がかりはなかったが、彼女は満足して帰国して行った。そして夕貴はこれらの話を経て、成長するのだった。
            今井正の遺作。とにかく東京大空襲、徴兵忌避、朝鮮人労働者、残留孤児(じゃないけれど)等、お話が盛りだくさんである。後援にいずみたくや毒蝮三太夫、組合等が名を連ねており、共産党系の色が濃い。これはこれで日本人が正面から向かい合わなければいけないテーマなのだが、とにかく盛りこみ過ぎ(笑)。現代っ子な女子高生が戦争中の話を知る、という展開があまりにも教条的かつ若者に媚びすぎで鼻白む上、それを演じるのが工藤夕貴というのは当時の彼女自身にも荷が重すぎたといえる(母娘?を演じた奈良岡朋子には驚いた)。センスも相当に古くて、モンペ姿の工藤と風見が川べりをスローモーションで走り、手を握り合って笑顔で回るシーンなんて、どうしようかと思ったぞ。狙いが見え見えというか姑息過ぎて、感心できない作品。ただ、東京大空襲シーンの特撮はかなり頑張っているし、東京大空襲の話の後に日本軍の中国爆撃の話をさらっと入れる辺りとか、なかなか端々に皮肉が効いているのはさすがというべきか。しかし今井正も山本薩夫も鬼籍に入り、新藤兼人も引退する今、こういった戦争映画を撮れる人が邦画に残っているのか、不安になった。

            続いて六本木で21時35分の回から梯子。
            『バトルシップ』
            グータラ青年のアレックスは酒場で兄のストーンに説教されている途中、金髪の美女・サマンサに見惚れてナンパする。チキン・ブリトーを食べたいが店が火を落として食べられないという彼女の為に、アレックスは5分で戻ると近所の店に買いに行くが、目前で店は閉じて店員は帰宅。アレックスは店に忍び込み、ブリトーをレンジで温めて酒場に戻るが、そのまま警官のスタンガンを食らって昏倒してしまう。しかもサマンサは、ストーンの上官である提督の娘だった。怒り心頭のストーンは有無を言わせずアレックスを海軍に放り込む。その後アレックス達はハワイでの14ヶ国合同演習に向かうが、親善サッカー試合中に自衛隊のナガタに顔面キックを食らった挙句にミスキックして試合に負けるわ、サマンサといちゃついて戦艦ミズーリ上での式典に遅刻するわ、ナガタと便所で大喧嘩するわで、提督に睨まれ、帰港後に海軍を辞めさせられることになる。
            しかしハワイ基地から宇宙の地球に似た惑星に向けて発射された通信を辿って、エイリアンの飛行物体五機が接近。一機は大破して香港に突っ込み大惨事を引き起こすものの、残り四機がハワイ近海に突入。艦隊をバリアで隔離してしまう。
            難を逃れたアレックス達はエイリアンの戦艦三隻と戦闘に突入。敵戦艦はレーダーに引っかからず、圧倒的な爆雷攻撃で自衛艦や僚艦を瞬く間に破壊。ナガタ達を救出した米軍は、上官が全滅し艦長の任に就いたアレックスを中心に反撃を開始。エイリアンが光に弱いという弱点を掴みながら、ナガタの発案による波の動きを探るブイによって敵戦艦二隻を撃沈。ナガタを艦長にし、残る一隻も遭遇地点で太陽を背にして敵をひるませる作戦で相打ちに持ち込む。
            しかしハワイ島のレーダー基地近くで両足を失った米兵のリハビリをしていたサマンサと、エイリアンに基地を攻撃され逃げ出して来た科学者達から、エイリアンが通信線を失い、レーダー基地から味方艦を誘導しようとしている事を知る。しかしもうアレックス達に武器はない。いや、あるじゃないか。
            アレックス達はミズーリ号に乗り込む。しかしこんな70年前のアナログロートル艦、誰も動かせないぞ! そこに勢揃いする、老兵達。彼らの活躍で、戦艦ミズーリが出港した。残る敵戦艦を錨を使った急転操舵と全力射撃で破壊して敵のバリアを無力化すると、最後の砲弾をレーダー基地にぶち込み、勝利するアレックス達。しかし敵戦艦から生き残った戦闘艇が飛び出し、ミズーリに襲いかかる。しかし間一髪、自由になった米艦艇から発信した戦闘機の攻撃で、敵は一掃されるのだった。
            戦い終わって勲章と出世を勝ち取ったアレックスだが、提督のサマンサと結婚したいと申し出ると、言下に拒否される。しかし提督は「後はチキン・ブリトーを食って話そうぜ」と囁くのだった。……しかしその頃、スコットランドの片田舎では、墜落したエイリアンの艦の一部がこじ開けられ、中から……。
            要するに宇宙に探査信号を送ったら、宇宙人が侵略しに来たというオーソドックスなSF設定に、ジェリー・ルイスみたいなバカタレ水兵物(ただし馬鹿だけれど基本スペックが高いというフォローにより、中盤以降はあまりアホをやらなくなる)、『トップガン』のような海軍プロパガンダ(僕は海軍に入って恋も仕事も充実しています!喧嘩もするけれど、皆高潔で良い仲間です!)、さらに老兵は大事です!とあらゆる世代と客層に媚びまくったごった煮映画。
            さらに日本の客層も考慮したのか浅野忠信扮する自衛隊のナガタが登場。こいつは最初はサッカーの試合中に主人公の顔面に反則蹴りを入れてその後大喧嘩する等のヒール丸出しで登場するが、これまたお約束でアレックスに命を助けられてからは強力にサポート、レーダーの効かない相手にレーダーブイを利用した索敵を進言して艦長の座を譲られ、最後は一緒に海にダイブして記念写真撮って親友になる等、至れり尽くせり。近年でも稀に見る厚遇された日本人の役である。もっとも後述の、日本が降伏文書に調印したミズーリで戦うという展開は、考えようによっては凄まじい嫌味であるが。
            基本的に『スカイライン』『世界侵略/ロサンゼルス決戦』の延長線上にある、ひたすら敵との攻防戦を描いているのが肝なのだが、基本は前述のようにいいかげんなので、所々でツッコミ所が入るおバカ映画である。『幻の湖』『若き勇者たち』『アルマゲドン』『聯合艦隊司令長官山本五十六』辺りの格調高くも腰砕けっぷりが理解できる人ならたまらない作品である。特に艦がやられ、「もう武器ねえよ!」と嘆くクルーにアレックスが退役戦艦ミズーリを指し示し、「こんなアナログ艦じゃ誰も操作できねーよ!」と嘆くクルーたちの前に、続々と(凛々しくカッコ良く)老兵達がいつの間にか全員集結し、燃料も砲弾も揃って即現役復帰という展開には笑い死ぬかと思った(そりゃ三笠みたいに艦としての機能を完全に潰されている訳じゃないし、退役前に大改装されているとはいえ)。
            という訳で真面目な映画としてはどうでもいいが、一度見る分にはバカ映画として大笑いできます。

            『ジョン・カーター』
            警告:エドガー・ライス・バローズのSF冒険世 界へようこそ!の管理人みたいに当サイトの文章を盗用しないでね。
            エドガー・ライス・バローズ『火星シリーズ』の映画化作品。
            エドガー・ライス・バローズは、叔父のジョン・カーターの遺産を託される事になり、広大な屋敷と「中からしか開けられない」カーターの墓、そして彼の日記を受け取る。そこには、カーターの半生が記されていた。
            南軍の生き残りだったジョン・カーターは、誰の為にも生きないという反骨漢。自分を捕らえて働かせようとするパウエル大佐を逆に叩きのめして逃亡するが、アパッチの襲撃に巻き込まれ、瀕死のパウエルと共に不思議な洞窟に辿り着く。そこに現れた謎の男を倒し、不思議なメダリオンを手にしたカーターは、瞬時に謎の惑星に吹き飛ばされる。重力の違いで、超人的な跳躍力と怪力を手に入れた彼は、サーク族の皇帝・タルス・タルカスの囚われの身となる。そしてソラと番犬・ウーラに下げ渡されたカーターは、折しもゾダンガ国のサブ・サン王との婚姻から逃げようとしたヘリウム国のデジャー・ソリス王女がサブ達の乗る空中艦隊戦に遭遇、デジャーを救出する。
            この件でサーク族に認められたカーターだが、この星=バルスーム=火星の謎を探りに禁断の地に踏み込んだばかりに、デジャー、ソラ達と逃亡する事になる。ヘリウムの為に参戦を要請するデジャーを冷たく拒否するカーター。そしてイス河の聖地で火星の謎を知ったカーターだが、二人とも追っ手に囚われ、ヘリウムへ連行される。
            そしてカーターは裏で糸を引くサーン族のマタイから火星征服の野望の一端を聞かされる。ソリスはサブとの結婚を決意するが、それはかりそめのもので、婚姻後にソリスは殺されるのだ。ソラ達の助けを借りて脱出したカーターはサーク族の助けを借りようとタルカスの元に急ぐが、タルカスは娘・ソラやカーター達の逃亡を許した件で皇帝の地位を剥奪され、処刑を待つ身となっていた。カーターとタルカスはコロシアムでモンスターとの死闘に出場させられるが、それらを打ち倒し、さらに権力を奪ったタル・ハジュスとサルコジャを倒し、ヘリウム救援の為にサーク族を決起させる事に成功する。しかし既にゾダンガの兵はヘリウム奇襲の為に全軍が出撃していた。必死で後を追い、ソリスの婚姻の儀式に突入するカーターとサーク族は、デジャーを救出し、ヘリウム軍と協力し、サブとゾダンガを倒すが、誰にでも化けられるマタイには逃げられてしまう。
            カーターはデジャーと結婚し、火星の王として生きていく事を決意し、メダリオンを捨ててしまうが、直後にマタイが現れて、その力でカーターは地球に戻されてしまう。
            地球で目覚めたカーターは、そこでパウエル大佐の死体を発見し、地球で長い年月が過ぎている事を知る。もう一度火星に戻る為、彼は洞窟の黄金を使って世界各地の同様の洞窟を探してメダリオンを探していたのだ。
            ここまで知ったバローズは、カーターの墓所へ行き、託されたキーワードにより、封印を開く。そこに登場し、カーターの死体を襲うマタイだが、それを予期していたカーターは背後からマタイを殺害し、メダリオンを奪う。そしてバローズに別れを告げると、火星へと旅立つのだった。
            長年映画化が熱望されながら頓挫を繰り返し、予告編でのヤバげな雰囲気に、早くも大赤字確実という報道など、もう敗戦必至の作品になっていた本作だが、いや、意外と面白い。原作のエッセンスをうまく取捨選択して話をきっちりとまとめていて、十分に楽しめる作品である。「JOHN CARTER」という題名に、カーターが火星帰還を決意したラスト後に「OF MARS」と付ける辺り、なかなか気が利いている。
            しかしやはり良くないのが、美術と演出と出演者である。火星らしく真っ赤なフィルターかけろよとまでは言わないが(言いたい)、そういった色彩面のみならず、美術が地味で印象に残らない。また、クリーチャーのデザインも外していて、本来所作や存在が愛らしいウーラとか、屈強なタルス・タルカスの肉体が貧弱だとか、武部本一郎氏やフラゼッタのイメージを頭から追い払っても、がっかりである。そのせいか、ソリスの忠臣カントス・カンがサブと似たようなキャラクターデザインで目立たないとか、不満点多し。カーター役のテイラー・キッチュは線が細いかなあと思ったが、やさぐれた元南軍兵士という設定もあってか、意外や違和感無し。やはり駄目だったのはデジャー・ソリス役のリン・コリンズ。別に剣を振り回して敵兵をなぎ倒し、カーターを後ろに下がらせるというシーンは笑えるし、才色兼備の文武両道という設定は構わないのだが、とにかくオバハン面で姫様という雰囲気ゼロである。嗚呼、キャロライン・マンロー様が最盛期だったら。演出もロングショットが多いのは多いが、どうもアクション映画の爽快感が不足していて、これもまた作品の雰囲気を地味にしている。でも『スター・ウォーズ』の後に出てしまったら、こう見られるのは必定か。惜しい作品である。
            | 映画・TV | 23:59 | comments(0) | trackbacks(1) | - | - |
            『壇ノ浦夜枕合戦記』鑑賞+丹古母鬼馬二トークショー
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              午前中病院に行ったので時間的に無理かなあと思っていたら、この強風と雨模様のせいか患者が少なかったのか、あっさりと薬の処方までたどり着き、そのままよみうりランド駅のザ・グリソムギャングへ。お客さんは俺も含めて7人ぐらい。少なー。
              でもこの映画は日活何周年記念だかのロマンポルノ超大作ながら、公開当時からつまらないという評判の作品なので、それもやむなし。おそらく実在する皇后というか皇族のセックスを描いた唯一の邦画だと思うが、確かにつまらないんですな。
              要は平清盛の没後(小松方正扮する清盛に犯されるのが、『女獄門帖・引き裂かれた尼僧』の田島はるか)、壇ノ浦での平家滅亡後、生き残った安徳天皇の生母こと建礼門院と女官達が源氏の武者達に嬲られ、売られ、殺される様を描いた映画。とはいえその辺りの話は60分ぐらいで終わり、後は風間杜夫扮する義経が脅しすかして建礼門院に自分から望んで体を開けと丁寧に強制して、延々ヤってる展開となり、この辺りが退屈なんですな。義の人だろうと何だろうと、昔は合戦があれば敗軍側の女子供や民は余得としてさらわれて売り飛ばされるのが常だったから、この辺りを丹念に描いた方が意義のある映画になったと思うのだが。

              15時から予告編付きの映画上映が終わり、休憩の後、17時から映画に伊勢三郎義盛役で出演していた丹古母鬼馬二氏登場。サイン会以外の撮影と録音は禁止なので、以下は記憶で。
              ・風間杜夫は同じ事務所で、数か月の先輩。
              ・ちなみに『蒲田行進曲』でいつものように呼び捨てにしていたら、聞きつけたスタッフが「うちの映画の主役にその口のきき方は」と叱りつけてきて、でも風間がフォローしてくれなかったので、そのまま謝った。
              ・風間杜夫の実家は雀荘で、本人も代打ちをしていたそうで、麻雀はえらく強いらしい。
              ・事務所の社長はじゃんけんで負けて役者仲間のマネージメントをした人物。芝居をよく見ていてガリ版刷りの新聞を刷って配ったり、「君の事務所の××君を主役で」という話に「いや、○○に出ている△△の方がいいですよ」と答えたりして、外部からの評価は高いが、内部からはさんざん。事務所の役者には仕事が来ないので、忘年会で二次会三次会あたりで大荒れとなり、以降、公式には役者との忘年会はなくなったとか。
              ・丹古母氏はギャラが同じなら、拘束時間の短い出番の少ないほうがいい。3カットぐらいがいい。
              ・台本は自分のセリフ以外は、前後と全体をさらっと斜め読みするぐらい。だからこの映画では小芝居をあまりしていない。女官が「天罰」云々と言うシーンや、義経が男根が切れたらお前にやると言うシーンは無言で追随するだけで、もう少し芝居をすればよかったと。
              ・撮影は、船に乗って流されてゆく坊主の役も演じている、姫田真佐久。丹古母氏が伝言を承って、建物内を走って来て、義経達の前で口上を述べるシーンはクレーンを使った大掛かりなものだったが、台詞を忘れてしまったので、後ろ姿しか映らないのをいいことにアフレコで合わせればいいやと後半は行数分だけ適当な事を言っていたら、監督にダメ出しされて、「9分ぶんのフィルム代7千円をギャラから引く」と言われて、懸命に台詞を思い出して、二回目はきちんと演じた。
              ・当時はカメラのレンタル料が一日70万円だった。ある作品の撮影中に、庶務のおばちゃんが笑顔でやって来て「お父さんが亡くなったって連絡が入ったよー」。長屋もので常に赤フンでうろうろしてる役でいつもいる必要があったので監督に頼み込まれ、帰れたのは二十日過ぎだった。
              ・にっかつの監督についていろいろ。これは司会の人のコメントも合わせて自粛します(笑)。西村昭五郎監督は老人ホームを転々として、八戸在住。曽根中生監督は死亡説も出ていたが、九州で生存確認。
              ・にっかつの映画には10年ぐらい出ていたが、最後に改心する駕籠かき役で出た『色ざんげ』がお気に入り。
              ・『八甲田山』の話。観客からの「あのよちよちした歩き方は雪を知らない人だと言われた」という質問に、案内人なのに知らないですね、文句はプロデューサーに!との事で場内爆笑。撮影は過酷で、雪山で麓との連絡が途絶えているにもかかわらず、脱走者が五人出た。二人は青森駅で捕まり、一人は東京駅で捕まり、一人は事務所で捕まったか。最後の一人は今も行方不明だ(おい)。また、女性のいない野郎だけの撮影だったのに我慢しきれなくなったやつが、ホテルの女中さんを深夜の混浴風呂で襲った。おかげでそれ以来、混浴はなくなった。また、小道具のNさんを責める役者がいて、Nさんは数日間寝ずに働いた揚句、ある朝精神に異常をきたし、降板した。
              ・最初は森谷司郎監督は優しかったが、木村大作の影響か、終盤の撮影は無茶苦茶危険な指示を出してきた。
              ・『砂の器』ではいきなり松竹の大船撮影所に行ってくれ、行けばわかると行ったら、鈴木瑞穂やらスターの並ぶ部屋で、前から四番目辺りに二つ席が空いていて、隣が森田健作だった。とりあえず撮影が始まったが何やっているかわからず、三日目に助監督に尋ねたら「松本清張の砂の器ですよ!台本もらってないんですか!」と言われた。台詞がないので、刑事らしく延々自前の煙草を吸い続けた。その際、煙草の長さに気を付けて、カットの前後だけは聞いていたが、ギャラが安いので途中で小道具さんにセブンスターをもらった。
              ・丹波先生は「やあやあやあ」と遅刻して来るが、当時は数ページ分もの台詞をしっかりと記憶していた。
              ・しかしある日ロケ先で双方釣りに行く事を知り、丹古母氏は現地で仲良くなった漁師の船にタダで乗せてもらって行くと話すと、タンバ先生は急遽自分のチャーターした船をキャンセルし、丹古母氏に付いて行くことに。しかし船の舳先で両手を広げてポーズをとり、釣りの用意は他人=丹古母氏にやらせ、釣れないと道具を交換しようと言ったり、無茶苦茶だったらしい。
              ・日本テレビの若山富三郎と安岡力也のどっきりカメラは、箝口令が敷かれていて、力也は本当に騙されたらしい。数百万円のギャラが出たが、若山と山城新伍の奥さん(花園ひろみ?)以外はノーギャラ。その後富さんに文句を言おうとしたが、「この前はご苦労さん」と頭を下げられ、先手を打たれた。ちなみに若山先生は自分で自分のことを先生と呼ぶ。
              ・懐に飛び込んで話すタイプなので、吉永小百合にも「乳揉ませて」と言ったらしい。
              ・ダイナマイトどんどんの撮影は、岡本監督の家に近い矢口。奥さんも来ていたらしい。弁当の仕出しまで自分の名前を覚えているので感激したが、それもテクニックだったと知って、「張り切って損した」。
              ・杉良太郎と三船敏郎の時代劇の夜間ロケが、冬場にバッティングした。とりあえず一揆農民役で草鞋しか履いていない丹古母氏は、老人の役者たちも含む二十数人で灯油缶の焚き火二つで暖を取っていたが、そこに杉良太郎がやって来て、二つとも持って行って、股あぶりを始めた。その後入れ替わりでやって来た三船敏郎、すぐに暖をとれる冬場の脚支度をするように指示した。翌朝、旅館の前で掃除している老人に挨拶したら、三船敏郎だった。

              俺の好きな丹古母氏の役は、力童と、『走れトマト』で犬を欲しがる気さくなトラックの運ちゃん役なのだけれど、ご本人も動物はお好きとのこと。グリソムも昨年の児童映画特集の時に上映を検討したものの、監督さんが関西在住なので招聘が難しく、断念したとのこと。

              こんな感じで出演作品が多い丹古母氏、話の引き出しが多くてしかもよく記憶していて、2時間があっという間でした。その後のサイン会で、色紙の他に、怪力サムソン役で出演した東映『スパイダーマン』のDVDジャケットにサインもいただき、ウホウホ状態。また丹古母氏がゲストの時は伺いたいと思います。
              | 映画・TV | 23:10 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
              上野オークラ・ピンク映画50周年イベント
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                先週末は石巻でピンク映画見たのに(観て応援)、今日もピンク映画かい。とはいえ『沖縄怪談逆吊り幽霊・支那怪談死棺破り』の小川欽也監督の舞台挨拶があるので、上野オークラに行って参りました事よ。

                こんなんで記念撮影できるか!(笑) 舞台挨拶は15時からという事で、10分前ぐらいに入場し、前から二列目の通路近く左側の席へ……あら、隣に知人が(笑)。昔池袋に映画観に行った時も、隣に知人が座っていて、何だかなーという感じでしたが。

                舞台挨拶前に用意していたくす玉が割れてしまい、スタッフ大慌ての図。良いなあ、こういう雰囲気。

                という訳で、左から小川欽也 監督、小川真実、あずみ恋、倖田李梨、加藤義一監督(助監督)。そういえは小川真実って、ロマンポルノ末期の『いんび』に出てたなあと思い出したり。

                テレビからピンクというか大蔵映画に移って50年、俺は怪談映画しか知らないけれど、400本以上のピンク映画を撮り続けてきた小川監督、凄いとしか言いようがない。今回は1966年の『禁じられた乳房』と新作の『美女家庭教師の谷間レッスン』を上映。当時の大蔵映画の雰囲気を色々と伺えました。

                しかし主演のあずみ恋、凄い美人。……って、黒髪ストレートと化粧で誤魔化されているのか(笑)。舞台ではあまり話していませんでしたが、その後のサイン会辺りで本領発揮のノリノリ振りでした。

                今回20名にプレゼントされた、復刻台本。ジャンケン大会には30名以上名乗りを上げ、私はいきなりあいこのパーで撃沈。ちっくしょー。隣に座っていた知人は最初に勝った17人に入り、貰ってました。ちっくしょー。アンケートを書いた人に抽選で当たるサイン入りポスター、当たるといいなー。

                池島ゆたか監督がちょこっと挨拶。

                くす玉の前で、4人が御挨拶。書籍に小川監督のサインも戴き、なかなかお腹いっぱいのイベントでした。
                ちなみに今回上映されたのは、3本。『痴漢本番生録旅行』は別の監督による、蛍雪次朗主演の姫路ロケのエロビデオ業者兄弟のコメディ。たこ八郎が出ていたのが時代ですな。『美女家庭教師の谷間レッスン』はあずみ恋の見せ場がラストだけで殆どが脇役女優の見せ場という、ちょっと詐欺っぽい一本。
                今回一番面白かったのが、1966年の『禁じられた乳房』。パトカーとか出て来て、今の作品よりも普通に面白かったぞ(笑)。映画は地方の旅館で世話になっていた親戚の女将に売春を強要されていた主人公が、女将の愛人と共に東京に逃げるが、そこでも売春を強要され、挙げ句子供まで中絶されそうになり逃亡、身を寄せていた叔母の所まで追いかけてきた男を刺して刑務所に入る。しかし娘を預けていた親戚が再婚し娘を孤児院にやるというので、レズ関係になっていた女囚と共に脱獄、東京まで乗せていくという約束で体を許した男に裏切られながら娘の元に駆け付けるが、既に警察の手が回っていて、警察の張り込む中、叔母は昔の家で娘と共に罠を張って待っていた……というもので、香港の富豪の愛人となっていた女囚の手を借り、50万円で叔母に裏切らせ、銭湯で娘を受け渡して奪還に成功、そのまま香港に渡ってやり直すことを決意する……という物。音楽がムーディーでなかなか楽しめる作品でした。ただ、こういう女の転落物はあまり好みでないけれどね。
                | 映画・TV | 23:28 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                『ゾンビ大陸アフリカン』『セルビアン・フィルム』鑑賞
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                  『ゾンビ大陸アフリカン』公式サイト
                  アフリカでゾンビが大量に発生、最後の米軍機が脱出するが、整備中に襲われて給油していなかった為に、墜落。エンジニアのブライアン達三人が海岸に辿り着くがゾンビに囲まれ、一人は仲間を見捨てて逃走、一人は足を怪我して動けないところを食いちぎられ、ブライアンはしがみ付いていた木箱の中の拳銃等の装備を取り出して辛くも脱出する。ブライアンはおんぼろの軽トラックを修理・給油してタイヤをはめて逃走。途中道路にハマって危機に陥るが、西アフリカ軍の兵士デンベレによって助けられる。故郷の村が滅び、ゾンビ化した母を射殺したデンベレは、兵士と共に脱出した一人息子を探していたのだ。飛行機での脱出を図るブライアンは、車と引き換えに、基地まで案内してもらう事にする。途中故郷と共に死ぬ覚悟を決めた兵士と村民たちの守る村で休憩した二人は基地へ向かって旅を続けるが、途中で事故って車軸を折り、徒歩で旅する羽目になってしまう。
                  野宿した二人は交代で不寝番も立てんと熟睡し、警報装置代わりの鳴子の音に気付かずゾンビ達に襲われ、デンベレは致命傷を負い、死亡してしまう。再び一人となったブライアンは「悪魔の爪」と呼ばれる遊牧民も避ける巨大な岩山を超え、ようやく基地に辿り着く。しかし一般市民ばかりいる基地はゾンビに囲まれ、風前の灯だった。ブライアンは無線機でようやく米軍基地の旧友・フランクと連絡を付けるが、既に米軍基地もゾンビ達によって陥落寸前で救援を出せる状態に無く、ブライアンの妻と娘も亡くなった事を知る(それ以前に息子も亡くしていたらしいが)。そしてフェンスのブロックを崩してゾンビ達が基地に潜入、ブライアンは生ける屍の如く立ちすくむが、偶然デンベレの息子と遭遇し、デンベレの言っていた「希望」という言葉を思い出すのだった。
                  もう何が嬉しいって、本作はゾンビがのたのた歩く、古式ゆかしいゾンビなんですな(しかもメイクは『吸血ゾンビ』っぽかったり)。だから走れば逃げられるけれども、水も食料も燃料も足りず、広いアフリカの地を移動して、ちょっと立ち止まっているといつの間にか囲まれているという、パトリシア・ハイスミス『かたつむり』みたいな恐怖感があったりして。最初は時系列がよく分からなかったりする部分もあるし、低予算なのが見え見えでテキサスやネバダの砂漠あたりで適当に撮ったのかなあと思ったら、ちゃんとガーナとかで撮影した、本物のアフリカ。行けども行けどもゾンビのいる広大な荒れ地のアフリカという舞台設定自体の絶望感、主人公二人とも笑いもせずにひたすら逃避行を続ける、ハリウッドゾンビ映画とは違う、ちょっと諦観の漂った異色な雰囲気が、なかなかに魅力的でした。エキサイティングな娯楽作品ではなく、ドラマ的にも薄い作品ではありませんが、テンポが良く、なかなかに楽しめる佳作という感じ。しかしこの前観たゾンビ映画『L.A.ゾンビ』も黒人ゾンビだったよなあ。

                  『セルビアン・フィルム』公式サイト
                  元ポルノ映画男優・ミロシュは引退し、妻マリアと息子と幸せに生活していた。そんな中、友人の元ポルノ女優・レイラから謎の男・ヴィクミルを紹介される。ヴィクミルの豪邸に入る彼とすれ違いに出て行った禿の中年男は、彼を見て意味ありげに笑う。ヴィクミルは「ポルノは芸術だ」と雄弁に語りながら、仕事内容を一切教えないまま、巨額のギャラを餌にミロシュに契約書にサインを迫る。結局承諾したミロシュだが、撮影は奇怪なものだった。いきなり孤児院に連れて行かれ、イヤホンから聞こえて来る指示通りに、カメラを構える屈強な男達の前で、演技をするミロシュ。彼の前で、美少女を巡って喧嘩する女優二人。監禁こそされないものの、撮影は常軌を逸していく。少女が見つめる中、アバズレ母親役の女にペニスを噛まれ、彼女を殴りつける演技を要求され、ミロシュは警官の兄マルコにヴィクミルの素性を探ってもらうよう依頼する。ミロシュが警官という安定した職業に就いている事を羨んでいるように、性的能力に劣ったマルコはミロシュを羨ましがり、そしてマリアに心を寄せていた。調査の結果、ヴィクミルはそしてミロシュは精神学に通じ、国家保安局に勤めていたキャリアを持っているものの、日本で行方不明になった事があり、何の映画を撮っているのかは分からないとの事だった。ミロシュは意を決して仕事を断るが、ヴィクミルは「我々は犠牲者なのだ」と狂気にも似た信念をさらけ出す。そしてその作品として、産まれたばかりの赤ん坊を屈強な男がレイプし、それを見た赤ん坊の母親が大笑いするというビデオを見せる。ミロシュは飛び出すが、ヴィクミルに飲まされた酒に何かが入っていたのか。性欲の塊に、突然車に寄って来た黒髪の女の胸を窓越しに揉みだし……気が付くと、血まみれで彼は自宅のベッドに横たわっていた。そして日付は三日経っていて、家には妻も息子もいなかった。何が起きたのか? 彼はバールを手にヴィクミルの邸に忍び込むが、邸には誰もおらず、ヴィクミルの書斎からビデオカメラとテープを盗み出す。そしてそれを再生し、彼は三日間の自分の行動を辿っていく。
                  黒髪の女は、ヴィクミルの手先だった。性欲増進剤と覚醒剤を打たれた彼は性欲の塊となり、ベッドに縛り付けられたアバズレ女役の女優をバックから荒々しく犯し、ヴィクミルの言うがまま、彼女を背後から切りつけてその首を落として殺害していたのだ。そして気を失った彼はボディガードによって犯され、彼の身を案じて抗議したレイラは、ペンチで全ての歯を抜かれ、覆面の男によってフェラチオを強要されてそのまま殺害されていた。そしてミロシュは美少女の家に連れて行かれ、彼女とセックスをさせられそうになるが、その瞬間に窓を破って逃走する。しかし薬物によって性欲の権化となっていた彼は、兄マルコに助けを求めるものの、街中できわどい格好をして歩く少女を見て自慰行為を開始し、不良達にリンチされていたところをボディガードに見つかり、連れ戻される。そしてミロシュはさらに薬を打とうとする黒髪の女の注射器を奪って、彼女の首筋に注射を行って倒し、逃亡を図る。しかし連れ戻された彼は、広間に連行され、ヴィクミル達の構えるカメラの前で、覆面して俯せに拘束された女と子供を犯しまくり、いつの間にかその横には覆面の男が並んで腰を振っていた。そしてヴィクミルは男の覆面を剥ぐ。男の正体は兄マルコだった。そしてマルコが犯していたのは妻のマリア、ミロシュが犯していたのは自分の幼い息子だった。泡を吹いて放心する息子。ヴィクミル「これがセルビアの家族だ!」。そこに黒髪の女が乱入して来る。彼女は鉄パイプで自慰行為を繰り返しており、股間を血に濡らしたま倒れて絶命する。一瞬の隙を突いてミロシュはヴィクミルに飛びかかり、彼の頭を床に打ちつける。「これぞ私の作品だ!」と歓喜のうちに絶命するヴィクミル。ナイフでマルコを殺害するマリア。飛びかかってくるボディガード達の拳銃を奪い、二人を射殺し、撃たれても向かってくるスキンヘッドを殴り続け、彼の潰れた左目の眼孔にペニスを挿入して倒すミロシュ。そしてミロシュは泣き叫ぶマリアを倒し、息子と共に自宅に連れ帰り、地下室に閉じ込める。彼は拳銃で自殺しようとするが、4回引き金を引いても弾が出ず、そのままベッドに倒れこみ気絶していたのだ。
                  全てを知ったミロシュは妻と子を助け出し、放心したまま共に最後の晩餐をし、ベッドにミロシュ・息子・マリアという形で横になり、マリアの背中から拳銃を撃ち、一家心中する。全てが終わったのか。いや、三人の死体の前に、ヴィクミルの邸ですれ違った禿の中年男と二人の屈強な若い男が、カメラを構えて立っていた。向かって左の男が、ズボンを脱ぎ出す。「まずは、ガキからだ」。

                  セルビアといえばドイツ軍による虐殺、凄惨な民族紛争と血生臭い歴史があり、その辺はヴィクミルの示唆するように、この映画が「セルビアの映画」なのだろう。ただその辺の風刺は抜きにしても、まあ見ているだけでえげつない描写の連続で、嫌な気分になってくる。もっともこちらとて世界に冠たるhentai国家(ヴィクミルが一度日本で消息を絶っているというのが笑ってしまう)、団鬼六や鬼畜ゲームで慣れた身としては(慣れたくねーよ)、ゴアシーンがビデオの中や記憶のカットバックのみということもあり、『ホステル』のような「主人公がこれから起きる拷問にリアルタイムに痛めつけられる」演出ではないので怖くないし、ミロシュが顔を隠した相手の前に引きずり出された時点で、今井正『武士道残酷物語』の目隠しして自分の妻と娘の首を刎ねさせられた武士を想起して、あまりきつさを感じず。とはいえ普通に見れば十分キツい内容であり、元ポルノ男優というあまり表に出せない経歴の持ち主ながら、良き家族に恵まれ、彼らの為に懸命に頑張った結果が自身も含めてすべての家族を地獄に落としてしまうストーリーは凄惨ながら、構成がしっかりとしている点には感心させられる。特にラストのミロシュ達が自殺する所は安堵感さえ漂うが、そこにとどめとして容赦ないオチを入れるあたりの展開はさすがである。二度と観たいとは思えない作品だし、繰り返し観るなら『ホステル』に劣るが、好事家ならば一度は通らなければならない作品であろう。
                  | 映画・TV | 23:53 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                  『金正日』鑑賞
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                    昨年の金正日死去に便乗して、渡辺文樹が油野美術館東京分室で急遽再上映会決定! しかし場所が分かりづらい。横道の入ってさらに横道のビルの一室って、そりゃ確かに分室だけれど……。ロケンロールなオリジナルTシャツ制作請け負い店の近く、と覚えておく。しかも狭い。20個ぐらい並んでいる折り畳み三脚椅子はしんどい。
                    以前は1本1400円の入場料が今は1000円。あいにくの雨だったので赤ん坊背負った奥さんと娘さん(大きくなったなあ)が階段で券とかパンフとか売っていたけれど、晴れていたら外の長机で売っていたらしく、大変ですな。
                    今回は1/17〜1/23まで毎夕トークショー付き、但しゲストが「元連合赤軍リンチ殺人犯」「元連合赤軍真田銃砲店強奪犯」「大成建設銃発砲犯」とか、何なんだ(笑)。私が行った時は強奪犯の雪野建作氏がゲストだったけれど、まー、「だから俺は反対したんだ、言った通りだろ」みたいな話が多い反面、他の連合赤軍の回顧録に載っていないような貴重な話も多く、このあたりは好きな人にはたまらんでしょうな。25分もオーバーして映画の上映が19時半ぐらいからになったのは迷惑だったけれど(笑)。

                    映画は一言で言うと、特殊部隊もの。要するに低予算のマカロニコンバットにありがちな、少人数の特殊部隊を編成して、敵地に潜入して要人救出というアレですな。
                    で、冒頭、北朝鮮軍の将校(異様に帽子のツバが広くて、コック帽の感じ)の乗ったヘリ。何か「陸上自衛隊」と書いてあったような。気のせい、気のせい。ただの飛んでいるヘリを撮っただけなので、遠くてよく見えないし。
                    で、どこかの狭い部屋で爺さんと眼鏡かけた男が会談。……話しているうちに、その二人が金日成と金正日親子である事が判明。似てねーよ。で「お前を後継に選んだのは失敗だった」「俺は後継者として立派にやってる」「俺が復帰するのも一つの手段だ」「引退しろよ、糞爺ぃ」みたいな会話が交わされて、激昂した日成が心臓発作を起こして苦しむのを正日が銃でとどめ。そこに部屋の外に控えていた警護の軍人が乱入して正日を射殺。以上、金正日の出番終わり。……えー。
                    で、アメリカ国旗がはためいているビル。当然これは文樹的にはアメリカの政府機関ということになる。その一室で、日本語吹き替えの白人(たぶんCIA)が文樹と会話。文樹お得意の、会話で全てを説明劇です。で、金正日はダブル(替え玉)で今のは二人目だ、日米欧露中みんなその事を知っている、とにかく文樹発案のプランを実行に移す、自衛隊から精鋭を集めて拉致被害者を救出だ!
                    そして自衛隊の朝鮮系兵士10人が集められ、ヒゲ面のカトーの下、フィルードアスレチックス秘密キャンプで特訓。しかし米軍に馬鹿にされた一人が便所で教官を射殺して自殺。憤り任務に疑問を抱く隊員台詞では14人9人に文樹が「俺もこのプランは無茶だと思う。反対だ。辞めても良いぞ」と言い、隊員全員がそちらに傾くが、そこでカトーが「日露戦争で工作した明石大佐になれ!君たち一人が一つの国を説き伏せて、北朝鮮を解放するんだ!」との大熱弁(これは真面目に必聴。凄まじく熱い)にほだされ、全員が作戦続行を支持。しかし3日の休暇を与えられて帰宅した一人が金に困って朝鮮総連に情報を売ろうとした事が判明。ここで先程のトークショーの話が生きてくるのか? その一人を全員が取り囲み、自決を強要。親を残して死ねんと抵抗する隊員を全員が自己批判と総括を強要し罵り、見事自決に追い込む。そして責任を感じたカトーもその拳銃で自殺。
                    でー、文樹(57歳)が指揮官として投入。潜水艦の模型の艦橋がチラッと映った後、既に全員が北朝鮮の海岸に! そして検問を突破した部隊は交換の集うホテルへ。「お名前を」「あっ!」白々しくインク壺をこぼして切り抜けた文樹達は、ホテルの一室に住む日本人拉致被害者達を確保。そしてトラックで米軍ヘリの降下地点に行くが、皆さん自分たちを見捨てた日本なんぞに興味はなく、めぐみさんやら八重子さんやら激怒して「私の故郷は北朝鮮だ!」と文樹達を罵る。でまあ、文樹映画だからヘリなんぞ降りて来る訳が無く、文樹達は捨て石にされた事を知る。
                    そして北朝鮮軍に包囲され、列車(蒸気機関車)に押し込められた文樹と拉致被害者達はそこに北朝鮮軍将校、そこに居合わせた正日の愛人(美人)と、金正恩(イケメン)を人質に取り、列車での逃亡を開始。
                    この辺でフィルム交換の休憩。たぶん1時間半ぐらい経っていたはず。手動のフィルム巻き器で文樹がぐるぐるフィルムを巻いた後、第二部スタート。「あと1時間、宜しくお願いします」。嘘つき。さらに80分ぐらいあったぞ。
                    蒸気機関車が走る中、福島の地元の老人達北朝鮮の国民が日本人に怒って鍬や鋤を持って追っかけてくるとか、追跡列車が追いかけてくるとか色々ある中、文樹達はロシア国境へ逃亡しようとする。しかし米軍機北朝鮮の戦闘機が飛んで来て、ミサイル攻撃! 正恩は「私の代になったらこの国を自由に良くする」とかいきなり人柄の良さをアピールして退場。そして将校の脅しに屈した潜入スパイが正日の愛人を連れて逃亡! 何とか正日の愛人を連れ戻した文樹だが、後ろからは北朝鮮軍の追跡部隊が! 走り出す列車を追いかける文樹はそこで後ろから撃たれ、無念の戦死。生き残った兵士と拉致被害者を載せた列車はロシアにたどり着けるか? その時!

                    ……いや、このラストは色々な意味でひどすぎる(笑)。あまりのひどさに監督に直接「あのラストは××が××に××されて××したんですか?」と尋ねたら、その通り。苦情来ても知らんぞ(笑、っちゃいけないんだが)。

                    文樹映画の旧作『天皇伝説』『ノモンハン』、『三島由紀夫』『赤報隊』あたりは事実上二部作で3時間以上する長尺で、本作は2時間半強ぐらいか。
                    文樹映画の特徴として、文樹主演、何でも台詞で説明する、しかもその台詞が聞き取りにくい、編集が雑で話がどう展開しているのかが理解できず、鑑賞者複数で相互に情報交換しないと理解できないとかあるのだが、本作もそれは同じ。何か大学みたいな建物が映ったらそれは政府機関の重要拠点なんだ、と観客が気を遣って先読みしないといけない。ふざけるな!(笑)
                    そんな感じで映像的には蒸気機関車の型番がC20だったりC62だったりと場面が切り替わる度に違っている、ヘリや戦闘機はどこかで飛んでいるのをロングショットで撮影しただけ、北朝鮮軍がM16を使っている、銃を撃つシーンは銃口から火花が花火みたいに派手にシューシュー噴き出ている、自衛隊員は迷彩服のデザインやズボンがバラバラで「U.S.NAVY」なんて書いてあって、北朝鮮兵士は全員退役軍人みたいな年寄り、「貴様は朝鮮語を話せるな」「イエッサー」みたいな会話をしておきながら結局北朝鮮人と日本語で会話する、そもそも金日成と金正日が全然似ていない、こんな感じで全編これツッコミどころというか、高校の映研かよ!と言いたくなるような映像のオンパレードである。途中の休憩で若い女の子二人が帰ってしまったのも無理からぬ話である。

                    とこれだけ言いつつ、この映画、意外や面白い。文樹映画は前述の通りとにかく分かりづらい。しかも編集も粗いので、場面転換が乱暴で、本当によく分からない。だから山本薩夫の社会派を意識した『三島由紀夫』『赤報隊』当たりはもう眠気との戦いのような作品だったのだが、今回は後半を列車での逃亡という作劇に絞ったのが功を奏して、テンポの良い作劇もあり、緊張感を持って最後まで観る事ができた。何か自分で書いていて矛盾している気がするが、その通りだから仕方がない。今回の作品は、文樹映画としては明快な娯楽作品に徹していて、最後まで飽きずに観られた(←どれだけハードルを下げているんだ)。もっと編集に気を遣い、音声をクリアにして、適切な字幕でも入れれば、一皮剥けるんだけれどなあ。
                    それでも変な製作委員会の作ったワケワカな企画作品に比べれば、文樹のやる気がヒシヒシと感じられる本作には好感を持たざるを得ない。御年57歳の文樹が、若い女性をお姫さまだっこして、足場の悪い崖道を降りるシーンは、もう文樹ダイナミズムの真髄であるといえるかもしれない(女優さんの方が怖いよ)。これでトークショー付きで1000円なら、安いもの。次回作も期待しております。いや、人には勧めないけれどさ。
                    | 映画・TV | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                    梶芽衣子様64歳ライブ+佐藤蛾次郎
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                      梶芽衣子トークショー&ライブ〜日比谷に想いをよせて〜

                      はい、今年5月に新譜(といっても7曲27分のミニアルバムだけれど)を出した梶芽衣子様のトークショー&ミニライブが開催ということで、日比谷図書文化館に行って参りました。日比谷図書文化館リニューアル第1回特別展の<日比谷が熱く燃えた日 団塊の青春グラフィティ>の一環だそうです。最近コンサート付いてますな。>俺
                      19時開始、3000円、190名限定なれど指定でなく自由席という事で、18時半過ぎに到着。チケぴとかで販売していたようだけれど、一階の受付で当日券購入。そのまま地下の大ホールへ。真ん中当たりの空席を見付けて潜り込む。客の入りはほぼ満席でしょうか。やはり団塊世代のアイドルという事もあってか、周辺は白髪頭か禿親父がほとんどですな。だが、それがいい。
                      19時に開演。共同通信社編集委員の立花珠樹氏が出て来て、「本来なら記事を書かなきゃいけないんですが、会うことを優先しました」云々。トークが巧いですな。
                      という感じで、梶芽衣子様登場。紅のハンカチーフを左胸ポケットに差した黒のスーツに黒いシャツ、そしてサングラスに頭にこれまた黒のバンダナ。どうも6日前に階段から落ちて怪我したとの事で、瘤がまだ残っているらしい。久しぶりなのにお美しいお姿を完全に拝見できなくて、残念。でも中止にならなくて良かった。ただそのせいか、ごめんなさい、はっきり言って声が近所の床屋の婆さんみたいで、さすがにご自分で再三強調する64歳という年齢を感じさせましたわ。
                      それから『あいつの好きそなブルース』から3曲。これが歌になると、前のような艶は減ったものの、実に見事な声量。主に新曲中心なれど、『一番星ブルース』のカバーが絶品。どうしてこう、孤独なつぶやきの歌とかは合うんでしょうか。嗚呼、梶芽衣子様。
                      19:25ぐらいで歌終了後、トークショー。立花氏の相槌も巧いが、とにかく饒舌に喋る喋る。日比谷公園でアイスを食べている時にスカウトされた事、近所に日活本社があって松竹以外の映画会社もあるのでこの周辺はよく来ていた事、そして改名時は当時の日活のホテルで発表した事、酒が飲めないのにロケ先で助監督に飲まされて翌日アレルギーで顔がひどい事になって撮影中止になった事、撮影所からの帰り道、スターの乗る車を横目に見ながら渡哲也と舗装されていない埃っぽい畑道を駅まで歩いた事、事務所を移ってからのマネージャーが若尾文子を担当していて増村保造監督と縁があった事、『曽根崎心中』は宇崎竜童が12月に19日しかスケジュールが取れずに原作を決めないといけないのに提案する書籍がみんなダメ出し喰らっていたのに、マネージャーが出した『曽根崎心中』があっさり決まった事、金がないので宇崎竜童にタダで音楽やって貰った事、その後音沙汰無しで新譜の作曲を頼んだら怒られた事、『銀蝶渡り鳥』は女性版『ハスラー』とプロデューサーに言われて洋服で撮影を進めていたら、藤純子引退でいきなり着物を持って来られてその場の砂利道で撮影されてあの有名な写真は大嫌い、等々。従来スルーしがちだった『さそり』話も今回は饒舌。「今回は嘘つかない、現代劇だ」と原作漫画渡されたら怖いんで伊藤監督に「一言も喋りません」と蹴られる覚悟で言ったら一週間ぐらい監督が考えてOKした事、服装とかは自前で考えて漫画チックにした事など。『キルビル』の時も平尾事務所から歌を使うと言われてOKして、3年ぐらい経って映画が出来たとか、タランティーノ来日時に「梶芽衣子に会わせる」という要求が本人抜きで合意されていた事、で、来日時にホテルのワンフロアを巡回する形での記者会見に30分ぐらい付き合ったら、握手して座ってそのままタランティーノがずっと手を握ったまま離さず「気持ち悪い」とかあんまりな御言葉(観客爆笑)。
                      でー、20:10辺りでトークショー打ち切りで、歌3曲。トリは「私はお祝いの曲を持ってないんですよ」云々と言いながら、待ってました!『怨み節』! 生で聴くのは二度目なれど、もう感激。聞き惚れてしまいましたわ。終了後アンコールの拍手に、舞台袖から立花氏と腕組んで登場し、挨拶して20:20ぐらいで終了。そこで客席後方左手から、花束を持った佐藤蛾次郎氏が登場! 場内沸騰。後、松竹の竹田プロデューサーも。
                      いやもう、『女の呪文』『別にどうってことでなし』を聴きたいというのは別として、梶芽衣子様、フルスロットルで実に素晴らしいというか面白い90分弱でした。帰り際も、お客さん達大喜びで、「改めてファンになった」と熱弁していたオヤジとかいて激しく同意。先着という条件なれどミニサイン色紙付きだったので、販売していた新譜も買っちゃいましたよ。これで2枚目。俺も二枚目だから構わんッ。
                      「来年もやりたい」とおっしゃってましたが、はい、是非お願いします! 嗚呼、梶芽衣子様、梶芽衣子様。
                      | 映画・TV | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |